バウハウスデザインの時計「ノモス」「ユンハンス」
どうもモリタです。
いよいよ迎えた2019年。
2019年と言えば・・・皆さんは何を思い浮かべられるでしょうか?
日本人なら誰しも天皇陛下のご退位とご即位を思い浮かべられるでしょうし、我々販売を生業としている人間には、恐ろしい消費税増税なんかも、すぐに思い浮かべてしまいます。
ちなみに2019年は映画「ブレードランナー」の劇中での設定年であり、我々世代には懐かしい漫画「AKIRA」の設定年でもあります(結局あんなサイバーパンクな世界にはなりませんでしたね・・・)。
時計業界でいえば、月面着陸から50周年ですので、オメガスピードマスターはどうなるの・・・?とか、タグ・ホイヤーのモナコも発売から50周年だなぁ・・・などと、限定モデルを期待してしまう年なのですが。
私モリタは、そんな「ちゃらちゃら」した(?)期待なんか関係ありません!
そう、モリタ的2019年はこれですこれ!そ~れドーン!!
バウハウスデザイン100周年!!
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バウハウスデザイン?なにそれ美味しいの??
とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません(確かにおいしそうな語感ですが・・・決して美味しくないです汗)ので、ここでバウハウスデザイン(バウハウス)についてお話しておきましょう。
「バウハウス(Bauhaus)は、1919年にドイツ中部の街”ワイマール”に設立された造形大学です。バウハウスとは、ドイツ語で「建築の家」の意味。ここでは、美術、デザイン、工芸、建築といった、造形に関するさまざまな教育が行われました。1933年にナチスによって閉校されるまで、わずか14年という短い歴史でしたが、現在も世界のデザイン・建築界に影響を与えています。産業革命以降、機械による大量生産が進む社会の中で、工業化に対する革新的な芸術運動が盛んに行われました。その流れの中で、バウハウスはその実験的・挑戦的な試みにより、近代デザイン成立の上で大きな役割を果たしました。」引用(https://hataraku.vivivit.com/column/bauhaus_201810)
ふむふむ・・・
たった14年しか存在しなかった大学で培われた造形デザイン。
そして、そのデザインは余計な装飾を排除した、シンプルで機能的な美しさを備えている。
そんなバウハウスデザインの影響を受けた時計と言えば・・・ここからは、当店に存在するバウハウスデザインに関わる時計をご紹介しましょう。
まず、小林時計店におけるドイツ時計、ひいてはバウハウスデザインと言えば・・・そう、ご存知(←!?)私モリタの左腕も飾っているステキ時計、NOMOS(ノモス グラスヒュッテ)です!
厳密にいえば、ノモスグラスヒュッテ(以下ノモスと表記)のデザインはバウハウスの直系ではありません。
しかしそのラインナップを見て頂ければわかるように、シンプルで独自のデザインは、機能的で何より腕時計という限られた空間の中で、最大限見やすさと美しさを共存させようとしています。これこそ、バウハウスデザインに通じるところがあるといえるのではないでしょうか。
実際、ノモスはデザインに非常に力を入れており、生産拠点のグラスヒュッテの工房とは別に、ドイツの首都ベルリンにデザイン専門のスタジオを持っているほどです。
結果として、ノモスのデザインは非常に評価が高く、上の写真の「アウトバーン」は4月に国際的に評価の高い「レッド・ドット・デザイン賞」、12月にドイツでも権威のあるデザイン賞「ジャーマンデザインアワードインターナショナルデザイン優秀賞」(長い!)を受賞するなど、そのほかの時計も、数多くのデザイン賞を受賞しています。
上記写真は2014年に私がバーゼルワールドに行った時のノモスブースのディスプレイです。
もう5年近く前になるのですが、自社の時計を様々な「モノ」に落とし込む表現は、月並みな表現になってしまいますが、本当におしゃれで、私はすっかり魅了されてしまいました。
ドイツのデザインというのは、スイス(どちらかというとフランス寄り)のデザインとは違うものだとつくづく感じさせられました。
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さて先ほど、ノモスグラスヒュッテは「バウハウスデザインの直系ではない」と申し上げましたが、もう一つご紹介するブランド。2018年末に新たに小林時計店が取り扱い始めたこのブランドは、まさに時計におけるバウハウスデザインのメジャーブランドと言っていいかもしれません。
それが「JUNGHANS(ユンハンス)」です。
ユンハンスの時計は バウハウスデザインを体現しているといっていいかもしれません。
それはなぜか?
そう、「マックス・ビルコレクション」があるからです。
「マックス・ビルコレクション」というコレクション名に使われている”マックス・ビル”という言葉。
これは人の名前です。
このマックス・ビルさんこそが、「バウハウスデザイン最後の巨匠」と呼ばれている様々な分野でその才能を開花させた人物。
バウハウス、デッサウ校(上の写真の校舎のある学校)でバウハウス創設者ヴァルター・グロピウスやパウル・クレー等に師事する傍ら、建築家のル・コルビュジエやミース・ファン・デル・ローエの思想をも受け継ぎ、しまいには、自ら講師としてバウハウスの教壇に立つという、ゴリゴリのバウハウス魂を受け継いだ方だったのです(カタカナ多くてすみません・・・汗)。
そんなマックス・ビルさんが、ユンハンスでデザインした時計。
最初は、キッチンタイマーや壁掛け時計でしたが、やがて腕時計もデザインします。その時のデザイン画がこれ。
誤解がないように、もう一度申し上げますが、このデザインはマックス・ビルさんがユンハンスにデザインを提供し始めた1962年の商品デザインです。
そして、現在のマックスビルコレクションはというと、
マックス・ビル By ユンハンス
型番 027 3701 00
ケース素材 ステンレススティール
ケースサイズ 34mm
ムーブメント 手巻き(J805.1)
防水性 防汗
風防 ドーム型プレキシガラス
定価 110,000円(税抜)
これです!
・・・驚くほどデザイン的に、ほぼ変化なし。それどころか、過去発売されたモデルと比較しても、現行モデルのほうがよりマックス・ビルさんのデザインスケッチにより近づいているような・・・。
他ブランドでも、長年変わらないデザインのモデルは数多くありますが、ここまで変わらないのは珍しい。
要するに、何が言いたいかというと、ユンハンスの時計には「マックス・ビルさんのデザイン」が、そしてつまりそれは、
「バウハウスデザイン」が今もそのまま生きているのです。
いかがでしょう?
今回小林時計店が取り扱うこととなった、ユンハンスの底力、お分かりいただけたでしょうか。
ちなみに、このユンハンスマックスビルコレクション。
その歴史を背負ったモデルにもかかわらず、お値段は以外にもまだお求めやすいところも魅力です。
機械式時計のエントリーモデルとしても、また、日頃のお洋服のアクセントとしてセカンドウォッチとしても楽しめる時計とも言えますね。
ちなみに、ユンハンスには、ヨーロッパの時計ブランドとしては珍しく電波時計や普通のクォーツの時計もあるので、デザインだけでなく実用性もしっかり兼ね備えています。
これも、ただの時計で終わらず、裏蓋を電波時計としては非常に珍しい、シースルーバックにするなど、遊び心がしっかり入ってます。
電波受信感度のために、裏蓋はガラスにせざるを得ないという悪条件を、こういった遊び心溢れる個性に昇華している点なんて気付くと、これこそが、デザインするということなのかもしれないと感心させられてしまいます。。。
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バウハウス100年を迎えた2019年。
たまたまなのですが、昨年末当店で新たに取り扱い始めたユンハンス。
そして、今までにないバリエーション展開を見せだしたノモスグラスヒュッテ。
この二つの時計が同時に見ることができるのも、何かの縁かもしれません。
この記念すべき年に、よろしかったら是非、バウハウスデザインの時計をご覧になりにいらしてみてはいかがでしょうか?
歴史と伝統、先人達の様々な「モノ」に対して「デザインする」という試みが満ちた、本当に素敵な時計です。
いや~熱い!
熱いぜ2019年。そしてバウハウスデザイン!!
(書いている本人が一番熱くなっていますが・・・)