ZEITWINKEL(ツァイトヴィンケル)は如何でしょうか?
「このブログは、時計以外の事ばかりなのか?」と思われているように感じ、少々反省しております。本日は、スイス時計業界の良心とも言うべき時計メーカー、私が個人的に大好きなZEITWINKEL(ツァイトヴィンケル)の時計を御紹介いたします。以前にも御紹介した時計メーカーですが、覚えていらっしゃる方も少ないだろうと思い、再度ZEITWINKELの記事を投稿いたします。久しぶりに真面目にブログに取り組むつもりです。この後、新人2名に会う為に大分店に向かうOne Third Stomach溝正です。
ZEITWINKEL は、2006年にスイス サン・ティミエで創業したまだまだ若い時計メーカーです。スイス国内の優秀なサプライヤーに部品の製造を委託、納品された部品の仕上げと組立をZEITWINKEL社で行っています。ZEITWINKELの取り扱いを開始した頃に日本の担当者に聞いたところ、製造本数は年間に1000本程との事でしたので、かなり小規模な時計メーカーの部類に入ります。ZEITWINKELは、創業当初から2種類の自社製自動巻ムーブメントだけを製造しています。ZEITWINKELの時計には、他メーカーのエボーシュを使ったムーブメントは搭載されていません。創業時から自社ムーブメントを搭載した時計だけで、スタート出来る時計メーカーは本当に稀です。
ZEITWINKEL (ツァイトヴィンケル)032°
自動巻、パワーリザーブ72時間、SSケース、カーフレザーストラップ、ケース径42.5ミリ、5気圧防水
価格¥880,000円+消費税
上の写真の時計は、デザイン的には大変シンプルで特徴が無いように思われるかもしれません。外観からは分からないかも知れません。中身が問題なのです。この時計は、搭載されているムーブメントに最大の魅力と特徴があります。下の写真をご覧ください。
ZEITWINKEL 032°の裏側の画像です。このムーブメントの材料は、ジャーマンシルバーとベリリュウムカッパーを主材料として使用、真鍮製のパーツはかなり少ないようです。
ほとんどのスイスの時計メーカーは、ベースプレートやブリッジ、歯車の材料として真鍮を使用しています。比較的に柔らかく加工し易い真鍮を切削加工し、メッキ加工で仕上げて各パーツを製造しています。
ZEITWINKELでは、硬度が高いジャーマンシルバーでベースプレートやブリッジ、テンプ受けなどの主要パーツを作り、ベリリュウムカッパーで歯車を製造しています。因みにジャーマンシルバーは、500円硬貨並の硬度だそうです。ベリリウムカッパーも真鍮に比較してかなり硬度は高いそうです。これらの耐久性の高い素材を使用し、厚みをしっかりと持たせてパーツを作り、最高の仕上げを施して一つ一つ丁寧に組み立てて高性能な自動巻ムーブメント製造しています。032°に搭載されているキャリバーZW0102というムーブメントは、部品総数が250個をを超えています。他メーカーの製造しているカレンダー付3針のムーブメントの部品総数は、一般的には170個~190個位じゃないかと思います。部品分割が細かく、本当に支障のある個所だけの交換が出来る、ユーザーフレンドリーな部品構成のムーブメントだと言えると思います。(*ZEITWINKELでは、オーバーホール時の指定交換部品は設定されていません。)
上の写真は、ZEITWINKELのもう一つの自社ムーブメント、ビッグカレンダーとパワーリザーブ表示の付いた、キャリバーZW0103の文字盤裏の側から撮った写真です。文字盤裏にビッシリと入っている鱗のような模様、ペルラージュと呼ばれる加工を施してあります。
上の写真は、キャリバーZW0103のケースバック側の写真です。4分の3プレートに縞模様のように見えるのはコート・ド・ジュネーブと呼ばれる仕上げです。
文字盤裏、ケースバック側から見えている美しい仕上げは、分解しなければ絶対に見えない所まで丹念に行われています。しかも職人の手作業でです。細部まで徹底的に仕上げられた、本当に美しいムーブメントです。
この写真では分からないかも知れませんが、ジャーマンシルバー製のパーツのエッジは、錫を使って手作業でブラックポリッシュが施されています。
こんなに丁寧な仕上げが施された、80万円台のSSケースの腕時計は他には無いと思われます。ZEITWINKELの時計製造への真摯な姿勢をひしひしと感じます。この美しいムーブメントだけで、この時計を手に入れたいと思われる方は少なくありません。美しい機械に御興味の有る御客様、本当にお勧めです。
小林時計店小倉店には、常時1階の売り場にZEITWINKELコーナーが展開されています。美しく仕上げられたムーブメントを是非、お客様自身の厳しい眼で御確認下さい。御来店、お問合せをお待ち致しております。
次回の投稿では、私物のZEITWINKEL273°に取り付けている松下庵のオーダーストラップにも触れたいなあと思いつつ、本日はここまで。