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50本だけのMOP文字盤が美しい。ボールウォッチが誇る軍用ウォッチ「ネドゥ」の日本限定モデルが登場

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小林時計店の時計技術者兼Web担当の土井です。ここ数日で急に熱くなり、6月であるにもかかわらず、日中の気温はなんと30度を超える猛暑日が続いております。あまりの暑さに溶けてしまいそうな時は、涼しげな時計を見て気持ちだけでもクールダウンさせましょう。

ということで今回ご紹介するのは、ボールウォッチから6月20日に発表されたこちらの新作「エンジニア ハイドロカーボン ネドゥ G5 ジャパンリミテッド」です。ボールウォッチは日本市場を重要視していることから、これまでにも複数の日本限定モデルを展開してきました。代表作「ネドゥ」に関しては、昨年、航空自衛隊の「ブルーインパルス」とのコラボ作を発売して注目を集めるなど、積極的に新しいモデルを生み出しています。

↑ネドゥの屈強なビジュアルはそのままに、文字盤の素材を変化させてクールな印象を持たせた日本限定モデル。ベゼルの色がブルーかブラックか。それが問題だ。

今回の新作の紹介の前に、この「ネドゥ」というモデルについて軽くおさらいしておきましょう。ネドゥという名称は、アメリカ海軍潜水実験部隊「The US Navy Experimental Diving Unit(略してNEDU)」からきており、ボールウォッチが2012年にこの特殊部隊の協力を得て製作されたのが本作です。強烈な個性とスペック面での完成度の高さから、ブランドが誇る代表作になりました。非常に大型の時計ですが、チタン製ケースの恩恵により外見よりは重さを感じない点も特徴です。

↑NEDUの男たち。彼らの責務は、アメリカ海軍における潜水技術の向上と確立だ。減圧潜水時におけるダイブテーブル(安全な範囲の潜水深度や時間を調べる事が出来るタイムテーブルのような表)を普及させた。

このネドゥは、ボールウォッチが持つ技術力の集大成といっても過言ではありません。ケースの直径は42mm、そして厚さは17.3mmと非常に大柄で、一目で普通の時計ではない!と分かるでしょう。屈強な特殊部隊が実際に過酷な潜水任務を行う現場に耐える、強靭なスペックを備えています。ボールウォッチの特許技術を投入しており、耐衝撃性に加えて耐磁性や高い視認性、防水性を併せ持ち、それでいてスイスのクロノメーター規格に準じた非常に高い精度を維持しているのです。

↑ネドゥに搭載されたボールウォッチの特許技術が、この「リュウズビルトイン型自動減圧バルブ」。ケース内部に入り込んでしまったヘリウムガスを抜いてくれるバルブを、世界で初めてリュウズの内部に組み込んだ。通常このバルブはリュウズの反対側などに別途設けられることが多いが、リュウズと同軸にすることでケース内部の気密性を高めることに成功した。

さて、今回の新作での注目ポイントは、なんといってもその美しさと希少性です。通常モデルはブラックと濃いブルーの2カラー展開ですが、天然の貝を用いたマザーオブパール、通称「MOP」でつくられた鮮やかな文字盤が一番の特徴。ツール感漂う大柄なネドゥにどこか柔らかい印象を与えていますよね。

↑レディースの高級時計に採用されることの多いMOP文字盤だが、ここまで”ガチ”のツールウォッチに使うことはあまりない。ボールウォッチでは他にもマーベライトやパイロットGMTなどで採用例がある。

天然の素材ゆえに全く同じ色味のものが作れず、1本1本絶妙に異なる表情が魅力的であり、限定モデルとしての価値を与えてくれます。正面から見ると青っぽく見えますが、斜めからだとピンクやグリーンにも見えるなど、光の角度や色によって表情が変化するのがなんとも芸術的。

貝の表面は幾重にも層が重なった構造になっており、ここに入ってきた光が様々な方向に反射し、その光同士が干渉しあうことで様々な色に見える…というミクロな世界のお話です。これはやはり、人工物では生み出せない表情ですね。

そしてなんと、この本限定モデルの製造本数はわずか50本。しかもその50本のうちの半分ずつベゼルの色が異なっており、ブルーとブラックの2種類が用意されています。ベゼルの色がついた表面はセラミック製のため、基本的に傷がついてしまう心配がありません。全体的に青く海を連想させるブルーベゼルのモデルと、MOP文字盤とのコントラストが高くツール感漂うブラックベゼルのモデル。なかなか悩ましい選択肢だと思います。

↑ボールウォッチの代名詞となった「自発光マイクロガスライト」は本作でも健在。一般的な蓄光塗料ではなく、カプセル内に入った特殊なガスを化学反応させることで常に発光し続けるという画期的なもの。またベゼルの数字の部分には5層構造のスーパールミノバを塗布し、傷や紫外線に耐えるようになっている。

それから、ペリカン製のスペシャルボックスが付属する点もお伝えしておかなければなりません。アメリカのペリカンプロダクツ社は、世界最高水準の耐久性能を誇るハードケースを製造しているメーカーで、米軍が銃火器を収納したり、精密機器を運搬する場面などでも採用されています。強化樹脂の内部はスポンジ素材で充填されており、ボックスを落としたり水没させたとしても内部の時計は無事なのです。特殊部隊が認める強靭なツールウォッチにふさわしいケースですね。

↑時計コレクターでペリカンケースを愛用している人もちらほら見かける今日この頃。高級時計を安全に保管しておくにはぴったりのツールだ。

日本限定わずか50本のため、入荷本数は非常に限られることが予想されます。少しでも本作が気になったという方は、お気軽にお問い合わせください!最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!

●基本スペック

・型番:DC3226A-S8CJ-BE(ブラックベゼル)、DC3226A-S9CJ-BE(ブルーベゼル)

・ムーブメント:自動巻きBALLキャリバーRR1402-C

・ケース素材:グレード5チタン

・ケースサイズ:直径42㎜、厚さ17.3㎜

・防水性能:600m

・限定本数50本(ブラックベゼルとブルーベゼルの合計)

・価格:69万3000円(税込み)