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戸澤2026.09.20
2026.08.29
プロスペックス
小林時計店の時計技術者兼Web担当の土井です。今回皆様にご紹介したいのは、「プロスペックス 1968 ヘリテージ・オートマチック GMT ダイバー」SBEJ029、通称”大谷ダイバー”。都市部を歩いていると駅のサイネージや看板で目にし、またスマホに目を向ければYoutubeの広告でもよく見かけるため、一度はこの時計の外見を大谷翔平選手のビジュアルとともに見たことがある、という方が多いと思います。

いまセイコーが最も押し出している、定番中の定番モデル。大変ありがたいことに小林時計店でも入荷しては売れ、また入荷しては売れ、と非常に好調な動きを見せています。では本作の魅力はどこにあるのか。ここでは大谷選手のビジュアルは一旦置いておいて、本作が持つモノとして、道具としての凄さを、今回は時計オタクからの視点から紐解いてみたいと思います。
…とはいえ、まずは本作が持つ大谷選手との強固なつながりを話しておく必要がありますよね。ただ単に本作のカラーリングがドジャースのユニフォームっぽいからではありません(笑)。セイコー×大谷選手のビジュアルが世に浸透していますが、そもそも大谷選手がブランドアンバサダーとして就任したのは2016年。早いもので今年でもう10年になります。大谷選手の故郷である岩手県にはグランドセイコーの製造拠点がありますが、その自然なつながりも素敵ですよね。
さて、では早速時計を見ていきましょう。モデルの正式名称「プロスペックス 1968 ヘリテージ・オートマチック GMT ダイバー」に含まれている1968とは、本作が所属するダイバーズウォッチのコレクションが、1968年に誕生したセイコー初となった300m防水モデルが持つデザインコードを継承しているから。ダイバーズウォッチのデザインはスペック上での制約が多いことから似通った顔になりがちですが、複数あるセイコーのダイバーズは一目でそれと分かる顔を持っており、本作も例外ではありません。この1968ダイバーは確かにダイバーズとしてはオーソドックスな方ですが、力強く分厚いベゼルや太めに作られたラグなどエッジの効いた仕上がりは、プロスペックスを特徴づける部分です。

ステンレススティール製のケースは直径42mm、縦48.6mm、厚さは13.3mmとダイバーズウォッチとしては標準的なサイズとなっています。ケース表面にはセイコーが独自に開発した表面加工技術である「ダイヤシールド」が施されており、小傷や擦り傷からできるだけ守ってステンレススティール本来の美しい輝きを維持してくれます。目に見えるものではありませんが、長期にわたって愛用して初めて実感する部分でしょう。

リュウズが通常の3時位置ではなく4時位置にずらして設計されている点が特徴ですが、これは1968年のオリジナルモデルから継承された要素のひとつです。手首を曲げた時に手の甲にリュウズが当たりにくくしたり、手首に着けた状態でリュウズの操作をしやすくするため、というのが理由です。

本作が定番モデルとして浸透し、ここまで話題作となっている理由は(もちろん大谷選手効果もかなり大きいですが)、モノとしての完成度が高く、かつシンプルに使いやすいカラーリングを採用しているからでしょう。ブルー×ホワイトシルバーという組み合わせは、まさにダイバーズウォッチが活躍する海を連想させ、視覚的にも腕元に爽快感をもたらしてくれます。セイコーが”マリンスポーツのあるライフスタイル”をイメージしたという配色は、多くの人に受け入れられやすく、思わず海へ繰り出したくなる爽やかな雰囲気を持つことが魅力。ブルー好きの私個人的にもこの配色は好印象です。

中身についてお話しておくと、本作が搭載するのはキャリバー6R54。最大の特徴はパワーリザーブが約72時間であること。それからGMT針の単独操作が可能な点も特徴で、リュウズ1段引きの際に回す方向によってGMT針の操作と日付変更の操作が切り替わります。GMT針は1時間分ごとにクリック感のある動きをするので針が示す位置が分かりやすい印象です。ローカルタイム側だけ変更できるのは実はこの価格帯ではそんなに多くなく、稀有な存在となっています。

そんな利便性に富んだ時計本体側をさらに使いやすくしているのが専用のブレスレットです。出来栄えは本体と釣り合ったものになっています。2段階のロック機構を備えたダブルロック式のバックルになっている点はセイコーダイバー共通なのですが、特筆すべきはバックル内側部分に搭載された「ワンプッシュダイバーアジャスター」と呼ばれる機能。

これはバックルのサイドボタンを左右から同時に押すと、内側部分のプレートがスライドして延長できるというものです。全体で15mm幅で延長でき、その中でも2.5mm間隔で6段階の微調整が可能。例えば夏に汗ばんで少しベルトを緩めたい時など、ダイビング時のみならず普段使いでも役立ちます。このアジャスターの有無でダイバーズウォッチとしての利便性および完成度が大きく左右します。
…いかがでしたでしょうか。いまプロスペックスで最も露出度の高いダイバーズモデル、「プロスペックス 1968 ヘリテージ・オートマチック GMT ダイバー」SBEJ029、通称”大谷ダイバー”。大谷選手とのビジュアルも相まっての注目度の高さですが、ただ時計として本質的な部分をマニアックに注目してみても、極めて完成度の高い1本であることが分かります。24万7500円(税込み)という価格設定の中で、本格ダイバーズウォッチとして十分な性能を備えた外装とムーブメント、ブレスレットという3点のトータルバランスがうまく統制され、まとまりの良いパッケージングであると感じました。
本作は小林時計店魚町店で販売中ですので、ぜひ実機をご覧ください。特に回転の速い商品になりますので、在庫の有無などはご遠方からでもお気軽にお問い合わせくださいませ。 土井のX(@doi_kobayashi)のDM等でも大歓迎です!
最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!