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【オリス2026年新作】時計好きこそ注目すべき2本「スターエディション」と「ポインターデイト」の魅力に迫る!

オリス

小林時計店小倉本店の時計技術者兼Web担当の土井です。4月にスイスで開催された新作徒刑発表見本市「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2026」の閉幕から1カ月以上経過し、そこで初披露された新作たちが少しずつ入荷してくるようになりました。私はスイス本国や国内のお披露目会などにはまだ行けないので店舗に入荷してきたタイミングで初めて実機を拝見するのですが、それが日々の楽しみの一つだったりします。

今回のテーマはオリスです。今年のオリスは例年と少し異なり「アートリエ」コレクションにフォーカスしたことが注目されました。しかもデザインとしてモダニズム、あるいはミニマリズムといった要素を付加し、これまでのクラシック路線から方向転換し、コレクションのイメージを変える16ものバリエーション(ストラップ仕様違いも含む)を追加しました。

その一方でアートリエ以外の新作も、少数ではありますが確かなものを出してきました。それがここでご紹介する新生ヘリテージモデルの「オリス スターエディション」と定番の「ビッグクラウン ポインターデイト」の新たなバリエーションの2本です。どちらもオリスらしさを持たせながらも、カラーリング等を含め手堅いところを固めてきたという印象です。

まずは前者「オリス スターエディション」からご紹介してまいりましょう。

オリス「オリス スターエディション」ステンレススティール製ケース(直径35mm、50m防水)。自動巻き(Cal.733-1)、パワーリザーブ約41時間。36万3000円(税込み)。ご注文での対応・納期約2カ月(2026年5月現在)、店頭にサンプル機あり。

本作はヘリテージコレクションという本作だけが所属するシリーズとして展開されます。まるで一匹狼のようです。パッと見のデザインだけでなく細かなディテールまで、ヴィンテージウォッチを強く意識したものになっていますが、単に古風を意識した復刻版ではなく、本作を製作するに至った経緯と歴史に注目です。

2026年は、本作のオリジナルである歴史的名機「オリススター」が誕生してから60年という節目の年。1966年に製作されたオリススターは、オリスというブランドの歴史を大きく変え、1本の時計が新たな出発点にもなりました。それには1934年3月12日にスイス政府によって制定された「スイス時計法」という法律が大きく関係します。

↑現・オリス名誉会長のロルフ・ポルトマン氏。彼の父がオリスで働いていたことから弁護士であった自身も入社し、それから10年間もの間「スイス時計法」の撤廃を求めスイス政府を相手に闘い続けました。

1900年代のスイスでは、時計産業での発展とともに分業制が盛んになり、大小問わず様々な時計工房がひしめき合っていましたが、第一次世界大戦の後に発展しすぎた時計産業全体の需要と供給のバランスが崩壊してしまいます。そこでスイス政府は”国の宝”である時計産業の衰退を止めるべく「スイス時計法」を制定しました。

その目的はブランド同士の過度な競争を抑え、業界全体を安定させるためのものでしたが、その一方で「政府の許可を得ずに新技術の開発ができない」などというブランドの成長の妨げになってしまうルールまで含まれていたため、多くの時計メーカーに苦戦を強いてしまうことに。そして時計業界が安定してきた頃には、一部の業界の利権者が利益を得るために、この法律を悪用するようになってしまいました。

この状況に危機感を覚えたオリスは、1956年に入社した若手弁護士ロルフ・ポルトマン氏の協力を仰ぎ、時計業界の足枷となってしまったスイス時計法の撤廃をスイス政府に要求し続けました。およそ10年間の長き闘いの末、1966年にやっとの思いで撤廃に成功したのです。このことはオリスだけでなく多くの時計ブランドを救うこととなり、これ以降は技術的制限なく新しい時計の開発に着手することができるようになりました。

スイスの時計業界の未来を変えたといっても過言ではない1966年、オリスはブランドの大きな転換点となったこの年に記念すべきモデルを発表。それが「オリススター」でした。

↑1966年に発表されたオリススター(オリジナルモデル)のポスター。上のグラフィックと見比べると、2026年の新作が瓜二つであることが分かります。スイス時計法撤廃前と後で大きく変わったのは、ムーブメントの精度を司る脱進機。以前のオリスは高い精度が出にくい「ピンレバー式」しか製造できなかったのが、精度が出て現代でも汎用性の高い「スイスレバー式」を採用できるようになりました。このスイスレバー式脱進機をオリスの時計として初めて自社開発し、搭載できたのが本作でした。

このような歴史から60年が経過した今、姿かたちはほとんど同じでありながらアップデートを加えた「現代にタイムスリップしたヴィンテージウォッチ」というべき外見をしています。直径35mmというケース径の恩恵もあり、サイズ感も外観も当時のまま、というかなり珍しいディテールが特徴です。多くのブランドが復刻版を出すときは若干外装のデザインやそもそものサイズが変更されていることも多々ありますが、本作はどこまでも”原作に忠実”。

↑文字盤周りにフォーカス。シルバーカラーの文字盤表面には縦方向のヘアライン仕上げが施され、中央に黒いラインが引かれた板状の針やアプライドインデックスなど、どれをとってもオリジナル通りのデザインとなっています。
↑当然ながらシースルーではなくソリッドバックが採用されています。中央には1960年代当時のオリスロゴが刻印されている点も魅力。搭載される自動巻きのキャリバーOris733-1は、汎用機をベースとした標準機で、パワーリザーブは約41時間です。

さらに見ると専用のストラップはダブルステッチ仕様で、工具いらずで取り換えが容易なアビエ式バネ棒が使われています。これはカーフ素材ですが、当時と全く同じ薄型で艶のあるアリゲーター素材のものに交換すると、より当時の雰囲気が出るかもしれません。

…….さて、2本目のご紹介に移りましょう。「ビッグクラウン ポインターデイト」の新たなカラーバリエーションとして登場した、これから定番人気モデルになるであろう1本です。

オリス「ビッグクラウン ポインターデイト」ステンレススティール製ケース(直径40mm、50m防水)。自動巻き(Cal.754-1)、パワーリザーブ約41時間。39万6000円(税込み)。即納可能在庫あり(2026年5月現在)。

ビッグクラウン ポインターデイトといえば、オリスを代表するクラシカルなパイロットウォッチ。そこに太めのアラビア数字などでモダンさを加えた本作のデザインは、2025年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブで発表された3本のモデルがデビュー作となりました。

イエロー・スカイブルー・パープルのポップなカラーリングでの初登場となりましたが、それから1年後にブラックが登場するという流れに。手堅く飽きの来ない定番カラーではありますが、そこにオリスらしいカジュアルさが共存しています。その要因としては、本シリーズである針で日付を表示する「ポインターデイト」機能を担う1本のデイト針にあります。

↑ラッカー仕上げで光沢のあるブラック文字盤の中で存在感を示すのは、先端がパープルカラーにペイントされたポインターデイト針。ここを単調なホワイトや視認性重視のレッドにしなかったのは、オリスのデザイナーのセンスが光る部分でしょう。日付表示の視認性を上げつつも、デザインの一部として文字盤に馴染ませているのです。加えて丸みのあるアラビア数字のインデックスはプリントではなく別体にすることで文字盤表面に立体感を生んでいます。
↑ポインターデイトモデルの大半はシースルーバックになっており、そこにオリスの代名詞である自動巻きローター”レッドローター”が存在感を放っています。レッドローターには”手が届く金額で現実的な機能を備えた、高品質な機械式時計である”というオリスの哲学が込められており、価格を抑えた汎用機をベースにしている証でもあります。
↑デザインの一新はケースや文字盤だけではなく、ブレスレットにも反映されました。H型デザインの一新はケースや文字盤だけではなく、ブレスレットにも反映されました。H型のコマが連結されたシンプルなデザインですが、コマ一つ一つが腕に沿った湾曲した形状で装着感も向上。加えて、調整用コマはピン留めからネジ式へ改良されています。コストがかかるためこの価格帯ではまだ採用例が少ない高級機仕様となりました。

……いかがでしたでしょうか。2026年に新たに加わったの2本のモデルは、どちらともオリスらしい品の良い雰囲気と、実用機としての十分なスペックを備えた手堅いものに仕上がっています。

1本目のスターエディションは大変人気の高いモデルのため、前述のとおりご予約にて承ります(現在は納期約2カ月)。また2本目のポインターデイトは即納可能なものが店頭にございますので、ぜひとも店頭にて魅力をご堪能ください!またご遠方の方でも喜んでご用意させていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!

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